年齢別で比較する子供の発達過程の特徴
子供の発達過程を理解することは、保育士にとって大切なことです。
もちろん個人差はありますが、大まかな年齢ごとに基本的な発達の特徴を押さえておきましょう。
記事の目次
おおむね6ヶ月未満
体
産まれた直後に比べ、身長や体重は増えており、著しい発達と発育が見られる時期です。
首もすわって、手足の動きも活発。寝返りや腹ばいなど、全身を使った動きも行うようになります。視覚や聴覚といった感覚機能も発達します。
動き
周囲の人や物をじっと見ることが多くなります。
また、物音や声が聞こえるとそちらの方向を見るなど、自分の意思で体を動かすようになります。
あとは、喃語(なんご)を発して自分の欲求を周囲にアピールもします。
遊び
腹ばいになって顔を上げるなど、上半身を自由に動かして遊ぶようになります。
また、ガラガラなど音の鳴るオモチャを振ったり投げたりして遊びます。
生活
月齢によって一人ひとりの生活リズムは異なります。
そのため、排泄や授乳の間隔、眠るタイミングや睡眠時間もそれぞれ。
6ヶ月~1歳未満
体
お座りからハイハイ、立ち上がったり伝い歩きをするなど、運動機能が発達します。
腕や指先を自分の意思で動かせるようになり、両手で物を持ったり、叩いたり、投げたりします。
握る動作から掴む動作へと徐々に変わっていきます。
動き
一人歩きができるようになり、以前に比べ生活空間が広がっていきます。
物に手を伸ばして触ったり、喃語を使って身振り手振りで自分の欲求を周囲に伝えようとします。
また、人の顔の見分けが付き始め、人見知りもするようになります。
遊び
あやしてもらう事を喜び、人とのやりとりが楽しめるようになる時期です。
真似っこ遊びや、スキンシップのある遊びをすると喜びます。
指先でつまんだり引っ張ったりするオモチャも好みます。
生活
離乳食が始まる時期です。すり潰し食から形のある食べ物へと少しずつ移行していきましょう。
スプーンを口に入れるのを嫌がる子もいれば、手づかみで食べたがる子もいますので、臨機応変な対応が求められます。
1歳~2歳未満
体
一人歩きを始め、脚力やバランス感覚が身に付くようになります。
指先が自由に使えるようになり、つまむ、拾う、本のページをめくるなどの動作も発達してきます。
動き
行動範囲がさらに広がり、自分の行きたいところへ歩いて行き、気に入った物を取ってきたり、箱や引き出しから物を出し入れしたりする動作もみられます。
遊び
押し車や滑り台など全身を使った遊びを好むようになります。
また、絵本をめくったり、クレヨンのなぐり描きなど、手先を使った遊びも増えます。
生活
大人の言うことが分かるようなり、指差し、身振り、手降り、 二語文など自分の気持ちを伝える表現方法が発達します。
友達や周囲の大人への関心も高まり、同じことを真似たり、友達と同じオモチャを欲しがったりします。
子供同士の関わり合いが増えてくるため、物の取り合いなどのトラブルも多くなる時期です。
食事では介助食べから手づかみへと移行していきます。援助を嫌がって「自分で」という自己主張をすることもあります。
おおむね2歳
体
歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能、また指先の機能が発達するので、自分の意思で全身を自由に動かせるようになります。
また、排泄のための機能もだんだん整ってくる時期です。
発声方法もはっきりとしてきて、自分の意思や欲求を言葉で表現するようになります。
動き
走り回ったり、ボールを蹴ったり、追いかけたりするようになります。
また、階段の上り下りやジャンプなど、最も目が離せない時期でもあります。
遊び
マットを使ったトンネルくぐり、ジャンプ遊びなど、色々な姿勢で全身を使った遊びを繰り返したがります。
紙をちぎったり、貼ったりするなど、指先を使った遊びがさらに広がります。
言葉が発達するにつれて、イメージをふくらませた会話のやりとりを楽しむようになります。
見立て遊び、ままごと、ごっこ遊びなどもするようになります。
生活
食事、衣服の着脱、排泄などは自分で行う意欲が強くみられます。
ですが、食事や衣服の着脱は、まだ一人では十分でないことも多いので、適切な声かけをするなど、保育者の援助が必要不可欠。
自我が育ち始め、自己主張をすることが増えますが、思い通りにいかないとカンシャクを起こしたり、泣いて自分の欲求を通そうとする姿もみられます。
お互いに主張しあって友達とのトラブルが起き、保護者が仲立ちに入って両方の思いを代弁するような場面も多々あります。
おおむね3歳
体
基本的な運動機能が発達し、歩く、走る、跳ぶ、押す、引っ張る、投げる、転がる、ぶら下がるなど、基礎的な動作が一通りできるようになります。
様々な運動を通して、自分の体の動きをコントロールするようになります。
動き
理解できる言葉の数が急速に増えます。挨拶も自分からできるようになり、話し言葉の基礎が形成されていきます。
それにつれて、知的な興味や関心が高まり「なぜ?」「どうして?」と質問を繰り返すようになります。
自我も育ち、自分のことを「ぼく」「わたし」と言えるようになる時期です。
遊び
簡単なストーリーを理解できるようになる時期で、絵本などからイメージを膨らませ、ごっこ遊びやなりきり遊びに発展することもあります。
体を使う遊びでは、滑り台やブランコ、追いかけっこなども行うようになります。
一人でじっくりブロックや積み木で遊ぶ子もいれば、他の子の遊びを見ながら真似をするなど、平行遊びが多く見られます。
オモチャを仲立ちして一緒に遊ぶなど、徐々に友達と関わっていくように心がけましょう。
生活
基本的な生活習慣の面で自立ができるようになります。
食事では箸を持って食べようとします。衣服の着脱や、排泄もほぼ自分でできるようになります。
生活面での自立と共に、自分の意思で様々なことをやりたがるようになり、大人に手助けされることを嫌がる時期でもあります。
おおむね4歳
体
全身のバランス能力が発達します。
片足跳びやスキップなど、体の動きが巧みになり、全身を使って活発的に遊ぶので、運動量も増えていきます。
手先も器用になり、ハサミを使って切り絵をしたり、紐を結ぶなどの複雑な動作もできるようになります。
簡単な踊りを考えて歌ったり、かけ声を出しながらの飛び跳ねるなど、二つの動作を交えて遊ぶことも増えていきます。
動き
言葉の数が増えていき、想像力が豊かになります。
現実の体験に想像の世界を重ねて考えたり、動物と話ができるなどを信じる子供もいます。
物語を自分でつくるなど、想像力を広げた遊びも発展していきます。イメージを友達と共有して想像の世界でごっこ遊びを楽しむこともあります。
物を生き物として見立てたりすることが盛んになる時期でもあります。
遊び
水、土、草花、虫などの自然環境に興味を持ち、自ら関わろうとします。
砂山づくりに熱中したり、草をじっくり観察したり、虫を触ったりするなど、様々な自然物への関心が高まります。
また、ブランコの順番を守るなどのルールの理解もしはじめます。鬼ごっこなどの簡単なルールも理解して遊ぶようになります。
生活
基本的な生活習慣はほとんど自立し、歯磨きや食事の準備、後片付けなどもできるようになります。
自我が形成されるにつれて、自分と他人の区別がはっきりと付くようになります。
仲間とのつながりも深まったり、一緒にいると楽しいと感じる反面、自己主張を通したい気持ちと、思い通りにいかない気持ちとの葛藤も経験します。
友達との遊びなどで関わりが増えることを楽しいと思うと同時、ぶつかり合いも多くなります。
自分が主張するだけでなく、相手の主張も聞き入れることが大切だと体験しながら、社会性を育んでいく時期です。
おおむね5歳
体
運動機能がさらに発達し、大人と同じような動きができるようになります。
縄跳びやドッジボール、サッカーなど、全身を使う複雑な運動も喜んで挑戦する姿が見られます。
動き
言葉を通して色々なことを伝えたり、遊びの相談をするなどのやりとりが増えます。
友達との話し合いを繰り返すうちに、自分の思いを伝えたり、相手の気持ちを聞こうとする力が身につき、ぶつかり合いやケンカが起きても、自分たちで解決しようとします。
そういった経験を生活の中で積み重ねて、思考力や判断力、社会性を育んでいきます。
遊び
友達と一緒に楽しめる遊びを喜びます。
ハンカチ落としやフルーツバスケットなど、ルールがある遊びも楽しむようになります。
イメージをふくらませて絵を描いたり、折り紙やちぎり絵など指先を使う遊びも頻繁に行います。
生活
この時期になれば、基本的な生活習慣はほとんど身に付いています。
1日の生活の流れに見通し持って過ごすようになり、手洗い、食事、着替え、排泄などは自分から進んで行うようになります。
また、準備や片付けなどの必要性が理解できるようになり、大人の手伝いをしたり、小さな子の世話を進んで行う姿もみられます。
おおむね6歳
体
身体的な機能がかなり発達するので、全身運動がより巧みになり、全力で走ったり、跳び箱や竹馬に乗るなど、様々な運動に自信を持って挑戦するようになります。
動き
思考力や認知力が高まるので、文字や数字、日にちや時間などに興味や関心を持ち始めます。
地図を見たり、図鑑を読んだり、自分の名前をひらがなで書けるようになったりもします。
周りの大人を観察をして、自分の意見を表現したりします。
遊び
複雑なルールがある遊びを好みます。時には友達同士でルールを決めて遊びを発展させることもあります。
集団遊びでは、役割のあるごっこ遊びなども活発に行われます。
様々な材料や道具を使って工夫し、何かを製作をする姿もみられます。
生活
年長としての自覚や自信が生まれ、予想を立てて見通しを持った行動をとるようになります。
集団での生活体験を通じ、社会事象への関心も高まり、意欲的に物事に関わっていく姿もみられます。
友達との関わりでも、自己主張をしながら、時には一歩譲ったりと、トラブルを避けようとする子供もいます。
トラブルになった時は、みんなの意見を聞いて解決を図るなど、社会生活の基礎となる協調性が育まれる時期です。
まとめ
発達過程の特徴を理解しておくことで、適切な保育方法も見えてくるかもしれません。
クラスが変わって子供にどう接していいか不安な方は、ぜひ、参考にして仕事に活かしてみてください。
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