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大手保育企業でも年収202万円?保育士の賃金が最低賃金を下回っている現状

 

大手保育企業でも年収202万円?保育士の賃金が最低賃金を下回っている現状

数年前。仕事内容の割には保育士の給料が安すぎると社会問題になりました。

その後、国による保育士処遇改善手当や企業による意識改革が行われ、保育士が安心して働ける仕組みへと変わりつつあります。

そんな中、週刊東洋経済(2019年9月21日号)に掲載されていた、保育士の賃金に関する記事が、大きな火種となりそうです。

大手保育企業でも年収250万円以下

記事の内容は「常勤保育従事者の賃金について、都内の大手保育企業に情報公開請求した」というものです。

情報公開請求によって判明した、衝撃の年収がこちら。

ずらっと並ぶ大手保育企業と保育所名。その横には「常勤保育従事者の賃金の年収換算(円)」とあり、アイグラン202万円を筆頭に、214万円222万円…と目を疑うような金額が記されています。

もう一度「設置者」の欄に書かれた企業名を見直してみると、そこには保育業界を代表する大手企業ばかり。

なかでも、

上場(親会社が上場)している超大手とよばれる保育企業です。

上場企業に就職しても年収250万円以下。保育士の賃金問題は改善されるどころか、悲惨な労働条件が次々と表沙汰になっているのです。

最低賃金を下回る保育士の給料

衝撃の年収を知って思ったことが「最低賃金を下回っているのでは?」という疑問。

そこで実際に計算してみました。

まず、労働基準法での法定労働時間は「週40時間」です。1年は52週ですので、年間2080時間の勤務となります。

また、東京都の最低賃金は2019年9月時点で985円です(2019年10月からは1013円)

ですので、

週40時間 × 52週 × 時給985円 = 年収204万円

という計算から、年収204万円を下回る場合は最低賃金以下ということになります。

この時点で、アイグラン(あい保育園赤羽橋)は最低賃金以下ということになります。それ以外の企業に関しても最低賃金ギリギリ。

ただ、これは「週40時間」しか働いていない、つまり「1日8時間労働」といった定時退社・残業ゼロの場合の計算です。

保育士の仕事で定時退社・残業ゼロなんてあり得ませんよね。

そこで、

  • 1日8時間労働
  • 1日2時間残業
  • 月22日出勤

と仮定して再度計算してみることにしました。

上記から、月間労働時間は220時間、年間労働時間は2640時間となります。

この場合、ワースト1位のアイグラン(あい保育園赤羽橋)だと、

年収202万円 ÷ 2640時間 = 時給765円

となり、東京都の最低賃金を220円も下回っています

また、ワースト13位の日本保育サービス(アスクむさし小金井保育園)でも、

年収244万円 ÷ 2640時間 = 時給924円

と、東京都の最低賃金時給を下回る結果となりました。

ちなみに、最低賃金を下回った際には罰則があります

最低賃金法 第四条
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。

(省略)

最低賃金法 第四十条
第四条第一項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

参照元:最低賃金法 – e-Gov法令検索

保育士向けの宿舎借上げ制度があるから年収は低くない?

保育士人材の「確保・定着・離職防止を図る為に、保育士向けの宿舎借上げ制度(保育事業者宿舎借り上げ支援事業)という制度があるのをご存知でしょうか?

保育士向けの宿舎借上げ制度では、月額8万2000円を上限に、国や自治体が保育企業に対して、保育士が暮らす住宅費用を補助するという内容になっています。

つまり、この制度を利用した保育士は、月8万2000円、実質年収98万4000円のプラスということ。

また、家賃相場が高い都心部では上限を超えて補助している自治体も多く、東京都23区の場合だと、

千代田区 月13万円(年156万円)
港区 月11万円(年132万円)
渋谷区 月10万円(年120万円)

と、年間100万円以上の家賃補助を受けることが出来ます。

そのため年収200万円でも、保育士向けの宿舎借上げ制度の家賃補助を考慮すれば、実質年収300万円超えという考え方も出来るのです。

保育士向けの宿舎借上げ制度のデメリット

しかし、現実問題はそうもいかない模様。

まず保育士向けの宿舎借上げ制度のデメリットとして、

  • 物件が選べない
  • すべての保育企業が対象ではない
  • 補助金の管理は保育企業が行う

という点があります。

まず「物件が選べない」ということで、保育士向けの宿舎借上げ制度を利用する保育士は、まだまだ少ないのが現状。

また「すべての保育企業が対象ではない」ということから、制度の恩恵を受けられない保育士も多いということ。

そして「補助金の管理は保育企業が行う」が、今回問題となった「大手保育企業でも年収250万円以下」に関連していると推測します。

保育士向けの宿舎借上げ制度を悪用する保育企業

保育士向けの宿舎借上げ制度は、保育企業が社宅として借り上げた物件に対して家賃分を支給する制度です。

そのため、高額な家賃ほど支給される補助金は多くなるという仕組み。これが問題点。

先ほども説明した通り、年収200万円でも家賃補助が年100万円なら、実質年収300万円と偽ることが出来ます。

そのため、保育企業としては「家賃補助が高額であれば保育士の賃金を減らしてもいいのではないか?」という考えになるわけです。

繰り返しになりますが、社宅家賃は保育企業が決めることができます。

社宅の家賃が高ければ高いほど、その分、保育士に支払う賃金から差し引いても構わないと勘違いしているのではないでしょうか?

また、保育士向けの宿舎借上げ制度で支払われる家賃補助の内訳ですが、

  • 国や都が3/4
  • 区市町村が1/8
  • 保育事業者が1/8

となっています。社宅家賃の7/8は補助金として保育企業に支払われるというものです。

であれば、社宅家賃を上限ギリギリまでに引き上げれば、支給される補助金も増えるということ

つまり、保育企業は社宅家賃の1/8負担するだけで、

  1. 家賃補助の分だけ保育士の賃金を減らせる
  2. 社宅家賃の7/8が自治体から補助される

という2つのメリットを得られるのです。

もしかすると、今回表沙汰になった「年収250万円以下」の大手保育企業は、保育士向けの宿舎借上げ制度を悪用して、年収のカサ増しを行なっていたのかもしれません

大手保育企業だから安心は間違い

保育士向けの宿舎借上げ制度は、国が保育士不足を解消するため行なった政策。保育士という働き方に魅力を持ってもらうため、国民の税金で賄われる補助です。

保育企業が保育士に支払う賃金とは関係なく、ましてや家賃補助の分だけ賃金を減らしていいわけない。

それが「ウチの会社は月額8万円の家賃補助が受けられる、だから月給15万円でも実質は月給23万円」などと保育士には説明して、制度を悪用する保育企業も存在します。

今回、有名な大手保育企業による違法な賃金形態が明らかになりました。大手だから安心、そんな常識は通用しなくなったということです。

だからこそ、勤務先選びは慎重に行う必要があります。

「支払われる賃金額は適正か?」
「補助金目当ての運営をしていないか?」

もし、現在転職を検討しているのであれば、ネームバリューにとらわれず、真っ当な経営を行なっている保育企業を選びましょう。

企業選びに自信がない方は、転職エージェントの利用をおすすめします。

業界事情に精通した転職エージェントなら、企業の内部事情や労働環境まで、知りたい情報を代わりに調べてくれます。

長く、安心して保育士の仕事を続けられるように、納得できる勤務先を選びましょう。

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